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【薬局薬剤師の視点】よく使われている花粉症の症状と治療薬について。

2025年1月28日現在。すでに花粉が飛び始めており、医療機関から花粉症関連の処方箋が来るようになった。今回は私の独断と偏見で花粉症治療薬についてまとめていく。自己研鑽用。

目次

花粉症とは

症状

体のアレルギー反応の一種であり、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ・充血などが主な症状。

Ⅰ型アレルギー

アレルギーには全部で4種類の型があり、花粉症はⅠ型に分類される症状。一般的に言われるアレルギーのほとんどはⅠ型に該当するものがほとんど。花粉症(アレルギー性鼻炎)や気管支喘息、アナフィラキシーショック、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、一部の蕁麻疹などなどがⅠ型アレルギーに分類される。

IgE抗体が因子となっており、マスト細胞(肥満細胞)や好塩基球上のIgE抗体を抗原が架橋することで細胞からケミカルメディエーターが遊離して症状が発現する。また、この反応は即時型と呼ばれ、すぐに症状として表れるのが特徴。だから花粉が飛ぶとすぐに患者が増加する。

治療薬

内服薬と外用薬

内服点鼻点眼が治療のための投与経路として挙げられる。

抗アレルギー薬の特徴

抗アレルギー薬の効果発現には数日~数週間かかるものが多い。そのため症状の予防、軽減のためには花粉が飛ぶ時期の少し前から治療を開始することが望ましい。

治療薬の分類

(他にも治療薬はあるが)臨床の現場でよく使われている花粉症治療薬は大きく分けて3種類。抗ヒスタミン薬ロイコトリエン受容体拮抗薬ステロイドの3つ。

抗ヒスタミン薬(内服・点眼)

H1受容体を遮断することで抗ヒスタミン作用を示す。花粉症治療のメインの薬。内服ではこれを使用することがほとんど。大きく分けて第一世代と第二世代がある。

第一世代H1受容体拮抗薬

H1受容体拮抗薬の原型。中枢神経抑制作用と抗コリン作用も有しており、それに伴う副作用が強い。副作用がネックだが、主作用である鼻炎改善効果も強い印象。第二世代が効かない人に出ているイメージ。

中枢神経抑制作用→鎮静、催眠作用

抗コリン作用→口喝、眼圧上昇尿閉

  • クロルフェニラミン(ポララミン)
  • ジフェンヒドラミン(レスタミン)
  • シプロへプタジン(ペリアクチン)
  • プロメタジン(ピレチア)
  • クレマスチン(タベジール)

ぶっちゃけ、第一世代は花粉症治療薬としてほとんど処方されない。クロルフェニラミン(ポララミン)がたまに出るくらい…。

第二世代H1受容体拮抗薬

H1受容体拮抗作用に加え、ケミカルメディエーター有利抑制作用をもつ。第一世代の中枢神経抑制作用や抗コリン作用を改良している。

→眠くなりにくい、緑内障や前立腺肥大の患者さんでも飲める、等。

副作用が出にくいように改善されているものの、その分主作用である鼻炎改善効果は第一世代より劣るイメージ。体感的に、よく処方されているものを上から順に並べてみた。

  • ビラスチン(ビラノア)1日1回内服
  • デスロラタジン(デザレックス)1日1回内服
  • ルパタジン(ルパフィン)1日1回内服
  • ロラタジン(クラリチン)1日1回内服
  • フェキソフェナジン(アレグラ)1日2回内服
  • レボセチリジン(ザイザル)1日1回内服
  • エピナスチン(アレジオン)1日1回内服
抗ヒスタミン薬の選択基準

個人的見解ではあるが、抗ヒスタミン薬を選ぶ基準には服用コンプライアンスがあると思っている。よく効く薬があっても、ちゃんと飲めていないと効果は発揮されない。だからこそその人に合ったものを選ぶ必要がある。

決め手は服用回数。1日1回服用のものを選ぶか、1日2回服用のものを選ぶか、これは医師や患者本人の価値観で左右される。

1日1回服用のメリットは飲む手間が減ること。デメリットは薬の効果が切れやすい時間帯が生じやすいこと。

1日2回服用のメリットは薬の効果がしっかりと持続すること。デメリットは飲み忘れる可能性が高いこと。

とはいえ1日1回の内服でも効果が切れやすいなんてことはあまりなく、臨床の現場でも1日1回のものが多く存在するしそれらが選ばれていることが多い。

ロイコトリエン受容体拮抗薬(内服・点眼)

ロイコトリエンの受容体への結合を阻害する。気管支拡張作用や血管透過性抑制作用、気道分泌物抑制作用などを示す。花粉症治療においてはこれ単体で処方されることはあまりなく、抗ヒスタミン薬と一緒に処方されているイメージ。

  • モンテルカスト(キプレス、シングレア)1日1回内服
  • プランルカスト(オノン)1日2回内服

ロイコトリエン受容体拮抗薬の選択基準

抗ヒスタミン薬の時と同様だが、これも内服のしやすさが重視されているかもしれない。というのも、花粉症治療では9割くらいモンテルカストが選ばれているイメージがあるから。プランルカストは粉薬として小児に処方されているイメージ。

ステロイド(内服・点鼻・点眼・眼軟膏)

抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用があり、自己免疫疾患やアレルギー疾患を中心に様々な疾患の治療に使用されている。花粉症治療にも使用されているが、内服は副作用の懸念から使われる機会は限られており、もっぱら点鼻や点眼、眼軟膏の外用薬として使われることが多い。ステロイドの内服が使用されるケースは、抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬でも効果不十分な場合というイメージ。

  • フルオロメトロン点眼(フルメトロン)
  • デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム点眼(ビジュアリン)
  • ベタメタゾン点眼点鼻(リンデロン、サンベタゾン)
  • プレドニゾロン眼軟膏(プレドニン)
  • デキサメタゾン(デカドロン)
ステロイドの副作用

ステロイドは眼圧上昇、免疫抑制に伴う細菌感染、高血糖、高血圧、胃腸障害、不眠、体重増加、骨粗しょう症などなど副作用が多いから。非常に使いづらい。ただ外用剤であれば局所作用のため高血糖以降の副作用は起こりにくいイメージ。

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この記事を書いた人

やくてぃーのアバター やくてぃー 管理薬剤師

やくてぃーです。
薬局で管理薬剤師をしています。
日頃の業務や自己学習で学んだことをまとめていきます。

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